・・・人々は温泉を求め海外へも団体を組んで行った。・・・近郊の競馬場は、熱狂したファンが詰めかけ、毎日のようにさまざまな競技が行われた。さらに各種のイベントや催し物があちこちの会場で開催され、大勢の観客を動員した。非常に奇妙なことは、何かイベントがあると、その一番乗りを目指して前の晩から人々が押しかけた。・・・その他、グルメブーム、温泉ブーム、新興宗教の乱立などが起こった。
「なぜ国家は衰亡するのか?」(中西輝政著PHP新書)
上記の現象は、今の日本のことではありません。百二十年前の大英帝国の有り様なのです。文明の末期には、似たり寄ったりの減少が起こるのです。
ローマ帝国、オーストリア帝国、オスマン帝国など同じような現象が起きています。文明が襴熟すると社会規範が弱まり、人々は快楽だけを追い求めるようになるのです。
まさに日本は、その真っ只中に居るのです。
ところで、確実に日本が衰退している兆候の一つはリーダーたる者、トップに立つ知識人、政治家、財界の人々の倫理観、責任感がないことです。
数年前、三菱自動車のリコール隠しを問われて「私は全く知りません。部下がやったんでしょう!」と強弁したのには、呆れて物が言えませんでした。この程度の人物が社長であった会社は、今、存亡の淵に立っています。
我が小泉現首相が初めて施政方針演説をした時も驚きました。「改革をどのように行うか、この報告書に書いてあります」と改革懇談会の答申書をポンと叩いたのでした。全く自分の考え、これからの社会の有り様、ビジョンを語らないのです。そして今まで聞いたことがありません。彼の在職中の四年間は空白と考えてよさそうです。
年金、税制、道路公団、省庁改革、・・・みんな中途半端で改革できたものがあったでしょうか?鳴り物入りで北朝鮮に乗りこんで、十名近く拉致被害者を連れ戻したものの、以前百名を超える人々が理不尽にも拉致されたままです。単に選挙前の政治ショーを見せられた印象だけが残ります。果敢に断行されたのは「自衛隊のイラク派遣」だけでしょう。世界の疫病神、ブッシュの付録みたいで情けなくなります。
さらに悪いことには、小泉首相を筆頭に、日本の指導者達に危機意識、歴史観が欠如しているように見えることです。
国、地方合わせて千五百兆円と言われる天文学的数字の借金は、どうするのでしょう?今年から大増税がはじまるようですが!「アルゼンチン・タンゴを踊る日」も遠い話ではないようです。
それにしても、テレビで会社や官僚のトップが頭を下げない日はないぐらい、日常茶飯事になりました。日本は相当弱っていると思います。
おっと、日歯もそうでした。
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さて、では日本の衰退は避けることができない宿命なのでしょうか?一旦、興隆した組織は再生できないのでしょうか?ローマの如く亡びるのでしょうか?英国のように鳴かず飛ばずになるのでしょうか?日本歯科医師会は雲散霧消となるのでしょうか?
歴史家のトインビーは、名著「歴史の研究」(社会思想社)の中で、今までの文明を詳細に調べ上げて「文明衰退に不可抗力はない。それぞれ原因があったのだ」と結論付けています。つまり「盛者必衰」の宿命論は誤りであり、自然的生理によって亡ぶものではないということです。
トインビーは、たとえ外敵侵入によって、民俗が一掃されても、その種子が残れば、一人からでも再生できると論じています。また、中西は前著の中で、改革の前に何故改革が必要なのか?「精神の改革、哲学の転換」の必要性を人々にきちんと伝え、あるべき国家像を示すことが大切だと述べています。このことは、国にしろ組織にしろ大事なことだと思います。
次にクラウゼビッツの「戦争論」(岩波)の中に以下の一説があります。「一頭の羊が率いる百頭のライオンの群と、一頭のライオンが率いる百頭の羊の群が闘えば、後者が必ず勝つ」と。トップに立つ者の責任の重大さを教えています。
つまり再生への道筋は、上に立つ者が不退転の決意をして、その組織・国の将来像を哲学を、スタッフや国民に語ることから始まるのです。そして枝葉末節、手練手管に陥ることなく堂々と正道を歩むことなのです。
おじさん達は、そろそろ組織のトップに立つ年齢です。もう一度、勇気を奮い起して行動することが会社、医院そして国を滅亡から救うことになるのです!
おじさん達よ!立ち上がれ! 君たちは日本の星だ!
(2005年1月10日発行 長崎保険医新聞 掲載)
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